現場の意見と設計の考え

最終更新日: 公開日: 2022年10月

作業する現場の人と機械を設計する人とそこにかかわる営業の話.

機械を設計する人が意外に現場で作業する人のことを知らないということ.

機械設備

まともに動かない機械

先日,カンブリア宮殿で串刺しの機械を製造販売している「コジマ技研工業」が取り上げられていた.

その際に言われてたことで,他の会社の機械は「肉がぼろぼろ落ちたりして,まともに串を刺せる機械がなかった」という話があった.
普通の人が聞くと
「嘘でしょ?」
と思うかもしれない.

だけど,これは工場によく訪問することがある人なら,「本当のことだ」とうなずける話なのである.

工場を訪問した時に片隅にホコリを被った機械を見かけることがある.
そして,「あれは何か?」と確認すると「開発業者が逃げた」と言われることがある.
作りかけというか,動かないまま放り出された「まともに動かない機械」なのである.

コジマ技研の社長は「売り逃げ」とおっしゃっていたが,全くその通りで信じられないが本当なのである.

要はまともに動きもしない機械を売って逃げるような会社があるのだ.

どういうことかというと恐らく現場を見もしないで設計だけする人や会社があるということだ.
お金を払わなければいいだけの話なのだが,どうもそうなっていないようだ.

現場の意見が設計者に伝わっていない状況

設計者が工場の現場を知らないということはつまり逆もあるということ.

現場の意見は設計者に届いていない.
そのため,役に立たない機械が世に出てしまうことになる.

不思議なことなのだが,購入する時に実際に使う人が発注していないことがあるようだ.
細かいところの仕様の食い違いなら,まだわかるのだが,そもそも焼いているときに肉がボロボロ落ちるというのはまともに焼けない機械と言っていい.

まさに普通に歩いてた人が「頸動脈狭窄症」に関する手術を行ったら,車椅子に乗って帰ってきて,「どうなってるの?」と医者に問うと「手術は成功です.」と言われるような話だ.つまり「頸動脈狭窄症」の手術は成功したから下半身不随になったとしても「成功」だというのである.
これは人に聞いた話であるが,「本当か?」と思うけど,こんなこと嘘言っても仕方がない.その方の友達がそんな状況になって憤っていたが,本当だろう.

人間ですら,こんなことが起こっているのだから機械だって,焼けないけど「肉は刺せた成功だ!」と言われることだってあるのだ.

両者に話を聞ける営業

機械要素部品や測定器など FA で使う機器の営業だとそのどちらの立場の人間とも話をすることが出来る.

つまり,どちらの立場にもなれるということなのである.

ということはつまりメッセンジャーになれるので設計の人には

「現場ではこのように使われて,このように思っています.」

と言えるし,現場の人には

「設計の人はこういうことを考えて作られたと言われてました.」

と言えるのである.これはどちらからも重宝される.

このように実際に使って作業する立場とその作業をするための機械を作っている立場の両方の状況や思考を知れば当然その部品を作っている会社は自社の商品開発に活かせる.

では営業は現場のことを知っているのか?

先ほど書いたように営業は設計する人も知っているし,現場で使っている人のことも知っている.

全ての営業が設計する人の考え方や現場で作業する人の考え方を知っているかというとそうではない.
ヒアリングしているか,していないかはその営業による.

だから,その会社のとある競合会社の商品について,その方たちがどう思っているか全然知らないケースも多い.

その人を知っている ≠ その人の考えを知っている

なのである.

どのレベルで知っているのか?

そのお客様が他のメーカーに対して「どういうイメージを抱いているのか?」ということを知るのは重要であるが,思い込みは良くない.
当たり前のことだが,結構心変わりするのだ.

そのイメージについて自分も「そうだ」と思うなら,同意すればいいし,違うなら「こういうことはないですか?」と質問すればよい.
それがコミュニケーションであり,その人を本当に理解するということだ.

どうも,日本人は無言のコミュニケーションを美徳とする思想があるように思うが,それはある程度,意思疎通が出来ている人同士の話であり,初対面や二,三回あっただけの間柄で行うコミュニケーションではない.

逆にある程度,その人の思考を辿れるほどの仲になっていれば「みなまで言うな」というコミュニケーションが成立するのである.
そのような関係を構築していないならば,ヒアリング(聞き込み)が不足しており,さらにその人を理解しているとは言い難い.

商品の知識

機械を設計する人はその機械に利用する部品を選定して設計に取り込んでいくわけだが,大体の場合,自分の興味の及ぶ範囲のことしか理解していないことが多い.
従って本来なら 100% その部品を使いこなしてもらいたいところが,30% ぐらいしか利用していないことはざらである.

自分自身が家庭で使っている家電製品を 100% 使いこなしているかを考えると分かると思う.
全ての機能を使いこなしている人などいない.
大体,自分が使っている一部の機能以外のことは調べようともしていないはずだ.

だからお客様の状況を把握して,どの商品のどの機能が使えるかを考えるのがコンサルティング営業となる.
その際に商品のことをもっと知ってもらう必要もあるわけだ.

設計開発業務の知識

これはなかなか難易度の高い話になってしまうが,実際のところ機械部品を売る営業は機械設計が出来た方がいいのである.

そうすれば設計のよくない部分にまでアドバイスすることが可能になり,そのアドバイスを受けたお客様からの信頼は絶大なものになる.
商品を選定してくれるだけでなく,設計のアドバイスまでくれるのだから.

つまり,本当のことを言えば設計のスキルがどのぐらいあるのかを知ることは本来のコンサルティング営業に繋がっていくのだ.

人は分かり合える人を求めている

商品のことで「知らない知識」を教えてくれる人はありがたい.
普段の仕事がさらにうまくこなせるようになる「役に立つ知識」を教えてくれる人はさらにありがたい.

その際に「こういう時はどうすればいい?」と聞いて,「こうではないですか?」とキャッチボールできるなら,また話をしたいと思うだろう.

まとめ

製造業は特にだが,販売する商品の知識だけではなく,業務内容に関しても適切な提案を行えると信頼関係を築きやすい.
もちろん,お客様より業務知識のレベルが上というのは難しいことであるが,教えてもらうことは可能であり,またさまざまな同様なお客様と接する機会も多いため,垂直方向の知識ではかなわなくても,水平方向の知識の場合は負けないことも多い.
コンサルティング営業にそれを利用しない手はない.

お客様自身やお客様の仕事内容に積極的に興味を持ち,一緒に問題点を考えることが自分のスキルの向上につながるし,また他のお客様にアドバイスを行えるスキルを持つことに繋がるのである.

 

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